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【帝王切開編】産婦人科専門医ママかおりさんに聞く出産のコツ

【帝王切開編】産婦人科専門医ママかおりさんに聞く出産のコツ
KAORI'S MAMA LIFE Vol.4

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産婦人科専門医ママかおりさんに聞く出産のコツ【無痛分娩編】

「出産」について教えていただく、産婦人科医ママかおりさんの連載。

無痛分娩編に続き、連載三回目の今回は「帝王切開」について。

 

今回でいよいよ出産シリーズは最終回。

帝王切開の手術の流れ、体験談や精神面のケアのお話もしてくれました。

 

 

はじめに

出産を控えたママ達にまず伝えたいこと、それは妊娠、出産自体が「奇跡」なのだということ。

「こんな出産にしたい」という理想があることは私自身も出産経験者なのでとてもよくわかりますが、どんなお産の経過でも、無事であれば万々歳!!!

色々なお産をみてきたからこそ、心からそう思います。

私は先日三人目の出産を無事に終え、現在三姉妹のママなのですが、実は

一人目:自然分娩

二人目:無痛分娩

三人目:帝王切開(逆子のため)

と、三人とも違う方法で出産しております。

今回は産婦人科医としての意見に加え、出産を経験している立場から「出産のコツ」についてお話しさせていただきます。

少しでも皆さんの出産が良いものになったら嬉しいです。

 

 


阿部佳織

産婦人科専門医

2019年2月に長女出産。

2020年8月に次女出産。

2022年1月に三女を出産。

現在は一時的に休職し育児に専念中。

今後は産婦人科の情報も発信予定!

Instagram:@kaoria320

 

 

帝王切開について

赤ちゃんがお腹の外に出てくる方法は2つあります。

①産道を通って出てくる、経腟分娩

②お腹を切って出てくる、帝王切開

 

分娩編最後の今回は帝王切開についてのお話です。

実は、帝王切開については、予定でない方にも知っておいてほしい内容です。
なぜなら、帝王切開は今や4人に1人の割合で行われていて、そのうち 6割程度が緊急帝王切開なのです!
妊娠、分娩経過中に突然帝王切開になることは決して珍しくありません。
予定帝王切開の場合は、医師から事前に説明がありこころの準備もできますが、緊急帝王切開の場合はゆっくり説明する時間もないため、あれよあれよと手術に向かいます。
そういった場合、知っているのと知らないとでは気持ち的にもかなり違ってくると思うので、妊娠したら、帝王切開についても知っておきましょう!

 

と言っても正直、帝王切開のコツ!というものはあまりありません。

 

きっと皆さんが一番知りたいことは、「手術中の流れや術後の経過が実際どうだったの?」ということだと思うので、帝王切開の一般的なお話の後に、私の経験談をお伝えしたいと思います。

 

読むと怖くなってしまうのではないかと不安もありましたが、包み隠さず書いています!

 

 

どんな場合に帝王切開になるの?

 

経腟分娩では赤ちゃんが外に出て来られなさそうと判断された時や、経腟分娩をするとお母さんや赤ちゃんの命が危険と判断された時に選択されます。

 

なので、希望で帝王切開を行うことは日本ではありません。

 

また、予定帝王切開と緊急帝王切開があります。

 

  • 予定帝王切開:事前に経膣分娩が適さないと判断され、前もって計画する帝王切開。
  • 緊急帝王切開:経腟分娩を予定していたものの、何らかの理由で経腟分娩が不可能と判断され急いで行う帝王切開。帝王切開を予定していたものの、手術予定日より前に陣痛がきた場合も緊急帝王切開。

 

お母さん側に理由ある場合

予定帝王切開

●前置胎盤・・・子宮の出口に胎盤があるため、経腟分娩で大量の出血が予想される。

●子宮手術の既往・・・陣痛に伴う子宮破裂のリスクがある。

●心臓や脳などに病気がある場合

 

緊急帝王切開

●分娩停止、分娩遷延・・・分娩に時間がかかりすぎ、もしくは所見が進まず、経腟分娩困難。

●重症妊娠高血圧症候群・・・血圧が高く、経腟分娩の陣痛や力みで脳出血などの危険性がある。

●常位胎盤早期剥離・・・赤ちゃんが出てくる前に胎盤が剥がれてしまっている状態。胎盤は赤ちゃんに酸素や栄養を送っているため、分娩前に剥がれてしまうと、赤ちゃんが低酸素状態で危険。また、母体も出血で危険な状態。

●子宮破裂・・・子宮が裂けて、母子ともにとても危険な状態。

 

※経腟分娩を行う場合もあります。担当医師とご相談ください。

赤ちゃん側に理由がある場合

予定帝王切開

●多胎、骨盤位・・・経腟分娩では赤ちゃんがうまく出て来られず、赤ちゃんが苦しくなるリスクや、外傷のリスクがある。

●胎児発育不全、低出生体重児、早産・・・赤ちゃんが経腟分娩に耐えられなさそうと判断された場合に選択される。

 

緊急帝王切開

●胎児機能不全・・・赤ちゃんの具合が悪い状態

●臍帯脱出・・・臍の緒が先に出てきている状態で、赤ちゃんが苦しくなってしまうため。

 

※経腟分娩を行う場合もあります。担当医師とご相談ください。

麻酔の方法や手術の方法、次回の出産は?

麻酔について

下半身麻酔(脊椎くも膜下麻酔)で、背中の腰のあたりから注射をして、脊椎くも膜下腔にという神経が通っている場所に薬を入れていきます。

 

麻酔をする時の妊婦さんのポイントは、無痛分娩編でもお話ししましたが、「姿勢」です。

 

横になって麻酔をする場合と座って麻酔をする場合がありますが、どちらも頑張って丸くなることです!丸くなって、背骨と背骨の間の空間を広げるイメージ

 

そうすると針が脊髄くも膜下腔に入りやすくなります。お腹が大きいのでなかなか難しいですが、出来る限りで良いので頑張ってみてください。

 

麻酔薬を入れ始めると足がじんわり暖かくなってきて、徐々に感覚が鈍くなり、自分の意思では動かせなくなります。先生が麻酔の効きを確認してくれます。

 

この麻酔は痛みは感じないですが、引っ張られている感覚や、触られている感覚は残ります。

下半身麻酔なので意識はあります。妊婦さんはゆっくり深呼吸して赤ちゃんに会えることを楽しみに待っていてください!

術後の痛み止めとして硬膜外麻酔を併用することもあります。(無痛分娩の時と同じ麻酔)

 

緊急帝王切開の場合、全身麻酔を行うこともあります。

 

手術について

ここからは先生達にお任せください。

どんなことをやっているかというと…

 

①下腹部を10cm程度切開し、お腹の中に到達します。

②お腹の中にある子宮も下の方を横に切開します。

③子宮の中の赤ちゃんを取り出します。「赤ちゃん誕生!おめでとうございます!」(出生時刻になります。)

④胎盤を取り出します。

⑤子宮、お腹を縫合、出血を確認し終了です。

 

おなかの傷は?

お腹の下の方を横に切開することが多いです。下着に隠れるくらい。

縦に切開する場合もありますが、緊急時だったり既にお腹に縦の傷がある場合に多いです。

 

 

帝王切開の合併症

知ると怖くなりますが、頻度はかなり低いです!

 

  • 出血

帝王切開は経腟分娩や他の手術より出血は多くなります。

 

  • 多臓器損傷(0.14-0.56%

子宮の前には尿を貯める膀胱が付いているため、膀胱を剥がす時に傷が付いてしまうことがあります。また、お腹の手術の既往がある方は、お腹の中の臓器がくっついていることがあり、膀胱以外の臓器が傷ついてしまうこともあります。

 

  • 静脈血栓症・肺血栓塞栓症(0.18%)

妊娠、分娩時は血液が固まりやすくなっています。長時間安静でリスクが高まるので、頑張ってなるべく歩きましょう。

 

  • 術後異常出血、感染、創部離開、腸閉塞(2-5%)

胎盤が残っていた場合や、子宮収縮不良、創部縫合不全などで異常出血が生じることがあります。その場合、輸血や再手術になることもあります。帝王切開は経腟分娩に比べて産褥感染の頻度は高いです。

次回の妊娠について

既往帝王切開後の分娩は陣痛に伴う子宮破裂の危険性が高くなるため(頻度は0.74%)、次回の出産は帝王切開が原則です。

また、次回の妊娠も半年はあけるようにしてください。

 

※施設によっては帝王切開後経腟分娩を行なっていることもあります。医師と相談しよく考えて決めてください。

 

【私自身の経験談】帝王切開、こんな感じでした!

 

帝王切開の術者は沢山経験していた私も、いざ自分が帝王切開される側になると、とても不安でした。

 


 

入院

●前日

入院し、病院に指示された時間から絶食。緊張していてあまり眠れない。

 

●帝王切開当日

午前中の手術で麻酔方法は脊椎麻酔のみ。

麻酔時に血圧が低下し、気持ち悪くなる。

手術中、痛みはないが、引っ張られている感覚あり。下半身だけ動かない感覚が苦手だった。麻酔の気持ち悪さもあり、帝王切開中は必死。赤ちゃんと対面時、かわいいと思いつつ、気持ち悪さ継続で目を閉じて耐える。

 

 

術後の経過

●当日 痛みで悶絶。眠気の出る痛み止めで、なんとか眠れる。前日に眠れなかったことが逆に良かった。

 

●翌日 傷口、子宮が痛く辛い。離床を頑張る。痛みが良くなるのかという不安が強い。

 

●二日目 まだ痛み強く辛い。痛み止めは最大量内服。不安は続く。

 

●三日目 なんだか朝から痛みが減少!!!回復していることが実感でき、安心できる!!!

 

●四日目 スタスタ歩けるレベルまで回復。痛み止めはずっと最大量内服。

 

●五日目 退院(早めの退院を希望)。帰宅し、上の子達の抱っこもできるレベルまで回復。

 

子宮の収縮を確認するため、医師や助産師さんがお腹を押して診察してくれますが、その時の痛みにも悶絶していました。でもこれは必要な診察なので頑張ってください。痛すぎで、恨みたくなるかもしれません。笑

 

三日目からがかなり楽になります!!!

一般的には一週間程度で退院しますが、医師として診ていた時は、退院時には皆さんスタスタ笑顔で歩いている方が多かったです。

 

痛くても、頑張って離床することが早期回復、血栓症予防につながります。(無理ない範囲で)

 

痛みは我慢せず、痛い場合は、痛み止めを最大量使うことをおすすめします。

 

精神的ダメージについて

帝王切開になった時、帝王切開になってしまった、と落ち込む方が多い印象です。(最高だったー!という方もいました。)

気持ちはとてもわかります。無事に産まれたからいいじゃない!とわかってはいるものの、未だに下から産めていたらなーとたまに思います。

 

予定の帝王切開ならまだ心の準備も出来ているので、精神的なダメージは少ないかもしれませんが、緊急帝王切開になった方は精神的ダメージが大きい方も多くいらっしゃいます。

 

毎回、なんと声かけたら良いのかなと思っていたのですが、

「無事に産まれたから幸せだ」

という事はきっと皆さん分かっている事で、それでも、やはり出産のイメージや、出産方法への理想があるから、落ち込んでしまいますよね。

 

「無事に生まれたからいいじゃない」と言われることが多いので、あまり人にも相談できない。。。

 

 

メンタルケアのコツを聞かれることが多いのですが、なかなか難しいです。

 

皆さん相談できてないだけで、そう思っている方が多いのだということに私は救われました。一人で悩まないで欲しいです。

もし、ダメージを受けてしまった方いたら、ここにもいますよ!!!

 

必要なら病院に相談してもOK

でも、ちょっとずつ、きっと気持ちは落ち着いてきます。

もし、本当に立ち直れないなどあれば病院に相談しましょう。必要なら精神科を受診することも良いことだと思います。妊娠中、産後は精神的に不安定なことが多いです。決しておかしなことではありません。

 

また、「たまに帝王切開は楽で良いねと言われて辛いです。」という言葉も聞きます。

声を大にして言いたい!!!まーーったく楽ではありません!!!

 

私は全てのお産方法をしましたが、正直帝王切開が一番辛かったです。

 

 

最後に

妊娠出産できたことは本当に幸せです。

無事に生まれてきてくれたことも、心から感謝しています。

でも大変なこともありました。

 

これから出産される方が良いお産になることを願っています。

 

 

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