
【装花】編集部が厳選!人気フローリストが手がけた“ふたりらしさ”あふれるウェディング装花事例
by nana
前回のコラムでは、人気フローリスト・伊藤裕之さんへのインタビューを通じて、フローリストとのコミュニケーションの大切さや、ふたりらしい世界観づくりのヒントをお届けしました。
今回は、伊藤さんが実際に手がけた印象的な装花事例を編集部がピックアップしてご紹介。おふたりの価値観や「好き」が、どのように花を通して表現され、空間に落とし込まれていくのかを実例と共に紐解きます。
プロならではのセンスが光る。「ふたりらしさ」を叶えた装花事例
装花は、ふたりの「好き」や世界観を伝える、大切なコミュニケーション (画像提供: @itou.flowers)
前回のコラム「人気フローリストに聞く、ふたりらしい世界観を叶えるウェディング装花のつくり方」では、 “ふたりらしさ”を表現する結婚式装花を実現するためのヒントを、フローリスト・伊藤裕之さんへのインタビューを通してご紹介。
装花とは、ただ空間を彩るためだけでなく、おふたりの「好き」や価値観を反映し、ゲストと想いを共有する大切な手段。
フローリストとの対話を重ねながら、よりふたりらしい世界観を創り上げることができることがわかりました。
また、「好き」を言葉で表現することの大切さや、色味のトーンの伝え方、さらには花材の選び方においてもフローリストの創造性を信じる柔軟な姿勢が、新しい魅力を引き出す鍵になることを教えていただきました。
今回は、そんな伊藤さんが実際に手がけたふたりらしさ”あふれる装花事例を厳選してご紹介。おふたりの個性がどのように装花で表現されているのか、実例を通して具体的に見ていきましょう。
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01黒と白だけで魅せる。ブラック×ホワイトの洗練コーディネート
プロのこだわりが結集した、ブラック×ホワイトの洗練コーディネート (画像提供: @itou.flowers)
(伊藤)「新婦さんのマーメイドドレスに合わせて、 “モードな雰囲気にしたい”という思いからスタートした装花でした。
思いきって装花の色を白と黒のみに限定するご提案をした際には、驚かれた様子もありましたが、手描きのスケッチを見ていただくとイメージを共有でき、とても楽しみにしてくださったのを覚えています。
当日は、おふたりはもちろん、ゲストの皆さまや、まわりのクリエイターの方々—たとえばフォトグラファーさんやビデオグラファーさん、プランナーさんなど—関係者全員のテンションがぐっと上がったのが印象的でした。 “今日はきっと素敵な一日になる”と、皆さまが確信してくださる瞬間に立ち会えるのは、私にとっても大きな喜びです。
白黒というシンプルな色構成だからこそ、華やかさを演出するには、スケール感や密度が非常に重要。特に花のボリューム感には細心の注意を払っています。
また、黒い花材は種類自体が少なく、出回る時期も限られているため、条件が整わなければ実現が難しいスタイルでもあります。」
白黒のみでも、華やかさと気品を感じさせる装花 (画像提供: @itou.flowers)
(伊藤)「この事例では、装花に合わせて空間全体の色味も統一しました。
私のスケッチをもとに、プランナーさんがテーブルクロスを真っ白に、チェアを真っ黒に揃えてくださったほか、ペーパーアイテムや空間装飾まで、世界観を細部まで丁寧に整えてくださったんです。
フローリストの描くイメージに信頼を寄せて、全体をコーディネートしていただけたからこそ、トータルで完成度の高い空間に仕上がったと感じています。」
モノクロ装花に曲線のやわらかさを。繊細なフリルで女性らしさを添えて (画像提供: @itou.flowers)
装花が素敵に仕上がるためには、関わるすべての人が同じ方向を向いていることが大切。
ひとつの世界観を共有しながら創り上げていくことで、より完成度の高い空間が生まれるのですね。
モノクロ装花 (画像提供: @itou.flowers)
02「ピンク」の取り入れ方が、まさにプロの技。大人ナチュラルな装花
ゲストの心を瞬時につかむ、ナフキンフラワーのさりげない演出も素敵
(伊藤)「新婦さんのご希望は“グリーンを取り入れてほしい”というシンプルなものでした。
とても素朴で自然体な方だったので、バラやユリではなく、野花系のナチュラルな花材を中心にセレクトしました。ただ、カジュアルになりすぎず上品に仕上げたかったので、メインにはすずらんを。
さらに季節に合わせて、芍薬やジャスミンの葉も加え、避暑地でのガーデンウエディングに馴染むよう構成しました。
ベースはホワイト×グリーンでしたが、新婦さんがピンクもお好きだったため、そのエッセンスもほんのり加えることに。
ただし、野花にピンクを合わせると、甘さが際立ってしまったり、“かわいらしさ”が強く出すぎたりすることもあります。
そこで、花ではなくカラジウムの葉脈やトケイソウの実など、“模様”としてピンクを取り入れる工夫をしました。」
葉脈に宿るさりげないピンクが、大人の可愛らしさを添えて (画像提供: @itou.flowers)
(伊藤)「ピンクは使い方次第で、可愛らしくも、大人っぽくも、時には毒々しいほどインパクトのある表現にもなります。
花材の質感や模様、雰囲気をよく読み取りながら取り入れることで、ひとつの色でもさまざまな表現が可能です。
私にとって“かわいい”とは、単にキュートやラブリーという意味にとどまらず、“ときめく”“素敵”といった感覚に近いもの。年代を問わず、誰が見ても“素敵だな”と感じられる、甘すぎない絶妙なバランスを大切にしています。」
トケイソウの実も、空間のやわらかな質感に調和 (画像提供: @itou.flowers)
多くの花嫁さまに愛される「ピンク」を、大人っぽく、上品に取り入れるヒントが詰まった装花。
ふたりらしさを表現しながら、誰にとっても心地よい空間を目指す—そんな視点で装花を考えるのも素敵ですね。
軽井沢ウェディングの装花 (画像提供: @itou.flowers)
03“アーティスト感”を意識した、フォトジェニックな装花
まるで“アー写”が撮れそうな、フォトジェニックな空間 (画像提供: @itou.flowers)
(伊藤)「こちらは、新郎新婦さまのご趣味や、結婚式当日の演出内容からインスピレーションを得た装花です。
新郎さまはバンド活動をされていて、新婦さんもサプライズで歌を披露されるご予定だと伺いました。会場はレストランでの1.5次会形式だったため、形式にとらわれない自由な雰囲気がぴったりだと感じ、“アーティストのジャケット写真”のような世界観からデザインを膨らませました。」
ふたりらしさから導き出された、唯一無二の世界観 (画像提供: @itou.flowers)
(伊藤)「ミラーボールをアイキャッチにし、彩度の高い花材を組み合わせた、カラフルでエネルギッシュな装花をご提案したところ、とても喜んでいただけたのが印象に残っています。
会場の壁がピンクという個性的な空間だったので、野花系のやわらかな印象の花材は避け、曲線よりも直線を意識して、アンスリウム、胡蝶蘭、ユリなど、輪郭がくっきりとした花を選び、空間に負けない存在感を持たせました。」
個性的な空間に映える、強めのフォルムと色で存在感を放つ装花 (画像提供: @itou.flowers)
この装花は、最初に色や花材から考えたのではなく、おふたりの背景や結婚式の演出から着想を得て、「どんな世界観をつくるか」というイメージを出発点にデザインされたもの。
誰にでも当てはまる装花ではなく、“おふたりらしさ”を色濃く映し出した、まさに特別な空間に仕上がっていますね。
「ふたりらしさ」は、フローリストとの対話から生まれる
ふたりらしさを映す装花とともに、大切な一日がより特別な思い出に
いかがでしたか?
今回ご紹介した装花の実例からもわかるように、「ふたりらしさ」は、フローリストとの丁寧な対話を通じて、少しずつかたちになっていくものです。
さまざまな要素を掛け合わせながら、唯一無二の世界観が創り上げられていきます。
そしてその装花は、ただ美しいだけではなく、ゲストの心を惹きつけ、結婚式という特別な一日に深い余韻をもたらしてくれるもの。
関わるすべての人の心に、ふたりの想いを届ける大切な手段となります。
「花を通して、装花に興味を持ってもらえたら。花をもっと好きになってもらえたら—そんな思いで、装花に向き合っています」と話してくださった伊藤さん。
結婚式の装花は、花嫁にとって初めて“花の魅力”に出会う入り口になることもあります。
だからこそ、前回と今回のコラムをヒントに、自分たちらしい装花について、ぜひ前向きに、そして楽しみながら想いを巡らせてみてくださいね。
▼伊藤さんが装花を担当した結婚式実例を見る
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nana
企業のブランディングを担う制作ディレクターやフォトブランドを展開。 年子男の子ママ。 ライターとしては、トレンドを意識した役立つ情報を発信していきます。
Instagram : @nan_awedding