
菜の花をたのしむシンプルレシピ
PARTY FOOD KITCHEN by 料理家 Kaori Kobayashi
「春野菜」
野菜好きの私のなかでもっとも心浮き立つワードです。
わかりやすく寒さに弱い沖縄出身者は、寒さに限界を感じはじめた2月ごろ他の春野菜よりひと足先に店頭に並びはじめる菜の花に春の訪れを感じるのです、力強く伸びる葉っぱとエネルギーの塊、黄色を帯びたツボミ、希望の光ですね。。。
菜の花を見かけると我が意思はそっちのけで手に取りあっちからこっちからひと通り眺め、そして連れて帰りたくなるのが不思議な魅力でして、連れ帰ったら真っ先に作りたくなるメニューが「菜の花の押し焼き」でございます。
花部分、茎の凝縮されたそれぞれの旨味と力強い歯ごたえ、シンプルで真正面から菜の花に向かい合えます。菜の花と仲良くなるにはぴったりのメニューかもしれません。
今回は期間限定の美味しさ「菜の花」を楽しむメニューをご紹介しますね。
料理のまえに簡単な菜の花情報を。
■選び方
茎、葉、つぼみとも緑色が鮮やかで切り口がみずみずしいものを選びましょう。
花が咲いてしまうと香りや旨味もおち、エグミと苦みが出てきます。
■下ごしらえ
束ねられていることがほとんど。
まずはほどいて水を張ったボウルに放ってみましょう、水をしっかり吸ってシャキッとぱりっと元気によみがえります。
【菜の花の押し焼き】
作り方
火の通りを良くするために茎部分を縦に切り目を入れた菜の花をにんにくの香りをつけたオリーブオイルでフライパンにギュギュっと押し付けながら焼くだけ。
中火でゆっくりフライパンよりひと回り小さい鍋の蓋をつかってね。
香ばしく焼けた葉部分と茎部分の味と食感の違いが楽しめます。
仕上げに好みの塩をぱらり。
そうそう、
蕾には花を咲かせるための養分が凝縮されているんですって。
ほのかな苦味には冬の間カラダにたまった毒素を体の外に流してくれる作用もあって女子には嬉しい野菜でもあります。
じっくりとろとろになるまで煮込んでも美味しいんです。
とろとろに煮込んだ菜の花はバゲット泥棒!
少し柔らかめに茹でたパスタに絡めてパスタソースにするのも涙ものの旨さです。
【菜の花とろとろ煮】
作り方
こちらも下ごしらえが同じく水にはなちシャキッとさせて、4等分に切る。
ニンニクとオリーブオイルでソテーしたあと白ワインひと回し、半分くらいかぶる水を入れ蓋をしてじっくりことこと10分、蓋をとったらソースをイメージしながらつぶします。
水分が足りなくなった適宜つぎたしてくださいね。
仕上げにオリーブオイルを回しかけて好みで黒胡椒をがりがり、薄く削ったパルミジャーノチーズを合わせてもいいですね。
そして必殺合わせ技もご紹介しましょ。
旬真っ盛りの食材同士は相性がいいの。
組み合わせて調理すると不思議としっくりきちゃうんです。
殻つきのあさりから出る滋味だっぷりのお出汁を菜の花にからめて1滴も旨さを余すことなく味わい尽くしちゃえます。
【菜の花とあさりのオリーブオイル蒸し】
作り方
砂だししたあさりは、ボウルの中でこすりあわせるように洗って半分の長さに切った菜の花とフライパンに入れます。
白ワインを大さじ5ほど、オリーブオイルをふた回し入れ全体をさっくりと混ぜあわせます。
中火にかけ蓋をし沸騰してきたら弱火に火を落とし3分、そっと蓋をとりあさりの口が開いていたら蓋を取り全体をからめて完成です。
他の野菜に比べて生育が早いので、買ってきたら早く食べきるのがいちばん。
その日のうちに使い切れるサイズ感も魅力ですね、旬は今のうち、たっぷり楽しみましょ。
<豆知識>
「菜の花」とは黄色い花をつけるアブラナ科の植物のひと通りの名前ですが、中国野菜の「紅菜苔(こうさいたい)」の菜の花、野原で出会いたいかわいさですね
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フードコーディネーター兼料理家
小林香里 kaori kobayashi
Kaori Kobayashi
小林香里 kaori kobayashi/フードコーディネーター兼料理家
スタジオ勤務を経て、フリーに。企業/メディアへのレシピ提供やメニュー提案、商品パッケージのフードスタイリングを行いながら、展示会やパーティーへのケータリング、イベントでの料理教室などを行っている。包丁一本をはじめ最小限の料理道具をたずさえ世界各国でケータリング旅行を行ない、現地の料理を学びながら日本の家庭料理を広める活動も実施中。沖縄県出身。