PARTY IN YOUR HANDS

【お出かけ】完全予約制!特別な日に。東京イチ贅沢な理想の朝ごはん
|by Mamiko Kume

私の記憶によれば、“朝ごはん”が一躍注目され出したのは、鎌倉・七里ヶ浜にオープンしたシドニー発のカジュアルダイニング『bills』から。

“世界一の卵料理”と評されたスクランブルエッグや人気のリコッタパンケーキは、瞬く間に朝食界を席巻。それまで東京でまともな朝ごはんを食べようと思ったら、ホテルのブッフェか築地の場内か。選択肢のなかった時代に脚光を集めるのも当然のこと。以降、スムージーやパンケーキブームにより、次第に広がりはじめた朝ごはん。

 

忙しい朝はついつい疎かにしがちですが、“理想系”ともいえる折り目正しい朝ごはんを提供する店がある。

店内カウンター6席にテーブル席4席を設けた、天然素材の趣ある店内。

 

日赤通り沿いにある日本料理店『栩扇S』。

予約制の朝ごはんは店主・重島友和さんの「夜の営業のようなごちそうだけじゃない食材の魅力を伝えたい」という思いからはじまったもの。

 

「朝めし」はごはん、味噌汁、焼き魚、小鉢、香の物がセットになったその内容が秀逸のひと言。

 

南部鉄の銅釜で圧を掛けながら“強火の攻め炊き”する新潟県魚沼産のコシヒカリのごはんは、眠っていた食欲を一気に加速させる甘い香りが立ちのぼり、噛みしめるほどに米の甘みが口いっぱいにほとばしる。

島根県の近海で水揚げされる鮮魚を使った干物店『からさで』の干物は、わざわざ炭火で丁寧に焼き上げる念の入れよう。

脂がのったアジなどは旨味が最大限引き出され、骨ごと食べたくなる味わい。味噌汁は田舎味噌、八丁味噌、白味噌の3種類を季節に応じてブレンド。だしがしっかり効いていて、しみじみとさせる。

小鉢もふぐ白子と芽かぶ、サクラ鱒と春キャベツの重ね蒸しなど、日本料理店ならではの手の込んだ料理が供される。ちなみに『栩扇S』の器はすべてが作家もの。お膳も朝ごはん用にあつらえたというのも、こだわりの証。

朝ごはん朝めし900円。卵、納豆それぞれ100円も別途オーダー可能。

 

これほどの朝ごはんが驚きの900円。採算度外視ともいえる価格に、店主の心意気を感じずにはいられない。ご近所の方が多いかと思いきや、わざわざ足を運ぶお客が多いのだとか。

時間のある朝はもちろん、徹夜明けの疲れた体に、海外から帰国した最初の食事にもだんぜんお勧め。朝ごはんは一日の活力の源。ときには高級旅館に泊まった時のように、非日常を感じながらゆったりと、とびきり贅沢な朝ごはんを味わってみては。

 

 

 

SHOP DATA

栩扇S(くおうエス)

東京都港区南青山7-14-6南青山TCビル1F

☎03-6805-0856

営業時間 朝めし9時~10時30分、夕方6時~24時

定休日 日曜、祝日

※要予約

ライフスタイル誌、料理専門誌の編集者を経てフリーに。

現在は雑誌や書籍を中心に執筆。

日本各地の魅力を「食」で活性化するプロジェクト『DINING OUT』ではシェフのキャスティング・ディレクターを担当。